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マクロ経済学の第一人者・吉川洋氏の新刊『日本――没落か再生か 時代精神とアニマルスピリッツ』が問いかける日本の未来

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時代精神と現代日本の課題

吉川氏は本書の「はじめに」で、「うまくいっているはずの社会は、時とともに変わる。それはいつも良い方向に変わるわけではない。ちょうど今の世界や日本のように、日々悪くなるという時代もあるのだ。それはなぜなのか」と問いかけ、その答えを探る鍵として「時代精神」という概念を提示しています。時代精神は空気のように移ろうため、その変化に人々は気づきにくいと指摘されています。

凋落したアルゼンチンと日本に共通する点とは

第二次大戦後まで世界有数の経済大国であったにもかかわらず、激しいインフレと経済の長期低迷が続くアルゼンチンと、「失われた30年」に苦しむ日本には共通点があると吉川氏は分析します。その共通点とは「経済格差の拡大」であり、かつて「一億総中流」と称された日本がどのようにして「分厚い中間層」を失いつつあるのか、その過程と現状に迫ります。

子育て支援策が少子化を止められない理由

1990年代以降、日本ではさまざまな子育て支援策が導入されてきましたが、少子化に歯止めがかかる兆しは見えません。吉川氏は、政策のプラス効果を打ち消す「要因X」の存在を指摘します。この「要因X」が一体何であるのか、天才経済学者シュンペーターが1942年の著作に残した記述に答えを見出しています。

イノベーションが停滞する本当の理由

アメリカではGAFAMのようなテック企業がイノベーションを牽引する一方で、日本では国民の豊かさを示す「1人当たりGDP」の低迷が続いています。製造業の技術革新によって高度成長を遂げた日本が、なぜイノベーションを起こせなくなったのか。その背景には、人々の「時代精神」の変容があると考えられています。

「失われた30年」の背後にある時代精神

日本人の「時代精神」はどのように変容してきたのでしょうか。吉川氏は、敗戦によって生まれた時代精神が高度成長を支え、その後、時とともに変容した時代精神がバブル経済を招いたと論じます。そして、日本が「失われた30年」を抜け出すために何が必要なのか、本書でその問いに答えています。

著者プロフィール

吉川洋氏の肖像

吉川洋(よしかわ・ひろし)
1951年、東京都生まれ。東京大学名誉教授。東京大学経済学部卒業後、イェール大学大学院でPh.D取得。ニューヨーク州立大学助教授、大阪大学社会経済研究所助教授、東京大学助教授、同大学院教授、立正大学教授・学長などを歴任。2023年文化功労者。専攻はマクロ経済学。著書に『マクロ経済学研究』(日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞)、『日本経済とマクロ経済学』(エコノミスト賞)、『転換期の日本経済』(読売・吉野作造賞)、『人口と日本経済——長寿、イノベーション、経済成長』などがあります。

書籍概要

  • タイトル: 日本――没落か再生か 時代精神とアニマルスピリッツ

  • 著者名: 吉川 洋

  • 判型: 四六判(224ページ)

  • 定価: 1,760円(税込)

  • 発売日: 2026年5月21日

  • ISBN: 978-4-10-603946-1

  • 詳細ページ: 書籍詳細ページ

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