米屋の廃業、3年ぶりに減少 2025年度は8割が「増益」、過去最高

株式会社帝国データバンクの調査・分析によると、2025年度(2025年4月~26年3月)における「米屋(コメ卸・小売業)」の休廃業・解散件数は75件となり、3年ぶりに減少しました。この減少は、コメ価格の高止まりにより在庫米に予期しない利益が発生し、多くの米屋が黒字経営となったことが影響したとみられます。
「売るコメない」状況から好転
近年、猛暑や少雨による不作に加え、地震に伴う消費者の買いだめ行動が重なり、2024年夏以降には「令和のコメ騒動」と呼ばれる深刻な品薄が発生しました。この状況下で、十分な販売量を確保できなかった米屋や、高値で仕入れて採算割れを起こした米屋は休廃業を余儀なくされるケースも確認されました。

しかし、2024年秋以降の新米流通により供給は徐々に回復。スーパーなどの量販店で販売数量の制限が続く中、「価格を問わず確実にコメを買いたい」消費者や外食業者が、2025年度に入り独自ルートを持つ米屋に多く流入しました。これにより、在庫を保有する米屋では、極端な品薄と価格高騰の影響で、古米やコメ騒動直前に仕入れた在庫米の販売単価が劇的に上昇し、予期せぬ利益をもたらしました。また、国産米に比べて割安な輸入米(ミニマムアクセス米など)の販売も好調で、資金繰りに苦しんでいた米屋の存続に寄与しました。
好業績の裏に潜む「逆ザヤ」リスク
2025年度の米屋における損益状況(純損益ベース)を見ると、4月時点で8割の企業が前年度から「増益」となり、過去20年間で最大を記録しました。「赤字」の企業は初めて1割を下回り、最小となりました。営業利益率の平均(上下計10%の刈り込み平均値)も、2025年度は約240社の平均で約5.0%となり、前年度の1.8%から大幅に改善しました。これは、物流費の上昇や賃上げ原資の確保に苦しみ、長期にわたり利益率「0%台」で推移していた米屋にとって、必要な利益水準に達したと言えます。
しかし、この利益増は昨今の価格高騰が生み出した恩恵が大きく、経営努力による本質的な競争力改善とは言い難い側面があります。
足元では、コメ価格の高止まりを嫌気した消費者の「コメ離れ」に加え、令和7年度産米の順調な収穫と市場供給が加わり、コメ不足から一転して「コメ余り」の様相を呈しつつあります。こうした状況下では、高値で買い集めた在庫がダブつき始めている米屋も散見され、市場価格の正常化に伴う値下げを余儀なくされる「逆ザヤ」リスクが深刻化しています。空前の価格高騰が終焉を迎える中で、2026年度における米屋の廃業は再び増加する懸念が高まっています。



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