「こども特派員」事業の背景と狙い
泉大津市は市域に占める農地面積が2.2%と非常に小さく、市内の子どもたちが直接土に触れる機会が限られています。このような背景から、「こども特派員」事業を通じて、未来を担う子どもたちに農地を有する他地域での農業体験や交流といった多様な学びの機会を提供しています。
この事業の目的は、地域間交流活動を通じた原体験機会の創出、子どもたちが自ら地域の魅力を発信すること、そして他地域との交流から学ぶことによるシビックプライドの醸成です。
世界農業遺産の地、東近江市での体験
東近江市は「近畿一の米どころ」として知られています。泉大津市の学校給食に提供されている「魚のゆりかご水田米」は、この東近江市で生産されています。この水田は、琵琶湖と共生する滋賀県の農林水産業システム「森・里・湖(うみ)に育まれる漁業と農業が織りなす琵琶湖システム」の一部として、2022年に「世界農業遺産」に認定されています。
魚のゆりかご水田米とは
「魚のゆりかご水田米」は、琵琶湖から田んぼに遡上してきた魚が産卵し、魚の子どもが育つ環境の水田で栽培された、減農薬・減化学肥料のお米です。滋賀県が以下の要件を満たすことを確認し、認証しています。
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環境こだわり農産物の認証取得
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遡上してきた魚が田んぼに入れるよう、魚道やその附帯施設を適正に設置・管理
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魚の赤ちゃんが田んぼで繁殖しているか現地で確認
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水産動植物(魚類、甲殻類)に影響を及ぼすとされている除草剤は不使用
このお米を消費することは、魚が遡上・産卵・成育できる水田環境の保全に貢献します。
昨年度の成功と今年度の拡大
東近江市で初めて実施された昨年度の「こども特派員」事業には、定員の約3倍の応募があり、高い関心が寄せられました。参加した子どもや保護者からは「田んぼに裸足で入ったことが衝撃的な体験で楽しかった」「家庭で給食についての会話が増えた」といった好評の声が聞かれました。これらの反響を踏まえ、今年度は定員を10組20名から20組40名に拡大して実施されます。
体験プログラムの内容
子どもたちは東近江市を訪れ、普段できない田植え体験を行います。また、生産者への取材にも挑戦する予定です。自分たちが日頃食べている学校給食のお米がどのように作られているのかを自らの目で見て体験することで、農業の現場で「食」が育まれる過程を実感し、その背景にある生産者の想いや工夫を学ぶ機会となります。
イベントの主なプログラムは以下の通りです。
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魚のゆりかご水田での田植え体験、魚道見学
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魚のゆりかご水田米についての学習
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生産者への取材、記事作成、発表
詳細は泉大津市ホームページにて確認できます。
泉大津市ホームページ
泉大津市の「食」に関する主な取り組み
泉大津市では、「市民の健康増進」および「食料危機への備え」を目的に、持続可能なまちづくりを進めています。その主な取り組みは以下の通りです。
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安全・安心な食糧の安定的確保に関する構想
2023年3月に策定されたこの構想は、生産地との「共存共生の関係性」による独自の食糧サプライチェーン構築を目指しています。農地の少ない都市部の自治体と生産地の自治体が連携し、都市部には食糧の安定確保を、生産地には生産者の所得安定や休耕地の活用、新たな担い手確保といった課題解決を補完する関係性を創出しています。
安全・安心な食糧の安定的確保に関する構想 -
小・中学校で提供する全てのお米を無農薬/減農薬の「金芽米」に
2023年4月より、小・中学校の学校給食における全てのお米を、農業連携先の自治体で無農薬または減農薬農法で生産された質の高いお米を直接購入しています。また、東洋ライス株式会社と連携し、独自の精米加工技術により、高品質な玄米の栄養を多く残しつつ、美味しく消化性に優れた「金芽米」として学校給食で提供しています。
学校給食における全てのお米を「金芽米」に
東洋ライス株式会社との連携 -
東近江市との連携
「安全・安心な食糧の安定的確保に関する構想」実現に向けた農業連携先として、2023年8月に東近江市と連携協定を締結しました。まずは東近江市で収穫される「魚のゆりかご水田米」(みずかがみ)を学校給食や子育て支援に活用し、農薬の使用を抑えて育てられた安全安心なお米を子どもたちに提供することで、健全な育成発達と「食育」を図っています。
東近江市との農業連携
この「こども特派員」事業は、子どもたちが食の大切さや農業の現場を肌で感じ、地域への理解と愛着を深める貴重な機会となるでしょう。



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