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現場から教育を変える挑戦:学級崩壊を経験した公立教員が若手教師支援へ

ニュース

学級崩壊の経験から始まった挑戦

2015年4月に教員としての道を歩み始めた一人の公立小学校教員が、その初年度に学級崩壊を経験しました。大学で学んでいない指導方法に直面し、「どうやって指導すればいいんだろう…」と教室で立ち尽くす日々が続きました。授業や子どもたちとの関係構築に悩み、「これでいいのか」と自問自答しながらも、うまくいかない教室の中で子どもたちに対して心の中で何度も「ごめんね」と謝り続けていたといいます。当時の切実な願いは、「普通に授業ができて、普通に学級経営ができる教師になりたい」というものでした。

講演者がプレゼンテーションをしている様子

スーツ姿の男性がマイクを持って聴衆に話しかけている様子

個人の問題ではなく“構造”の問題

この学級崩壊の経験は、本当に個人の力量だけの問題だったのでしょうか。教育現場には、個人の力量に過度に依存した構造が存在しています。文部科学省の調査でも、教員の長時間労働や精神的負担は大きな課題であり、精神疾患による休職者も増加傾向にあります。また、若手教員の離職も深刻な問題です。教師の仕事が本当に楽しくなるのは3年目以降と言われる中、その前に現場を去ってしまう教員が多い現状を変えたいという強い思いが活動の原点となっています。

教室のような空間で、スーツ姿の参加者たちが講義やセミナーに真剣に取り組んでいる様子

準備されない現場と“個人依存”の限界

現場に出た瞬間から即戦力を求められる構造も課題です。例えば、新年度2日目から始まる給食指導について、教育志望の大学生を対象とした調査では、「大学で食育や給食指導の授業を受けたことがある」と答えたのは約15%にとどまる一方、約79%が「そのような授業は必要だった」と回答しています(※一般社団法人全国学校給食推進連合会〔通称:きゅうけん〕資料より)。これは、現場で必要とされる力が事前に十分に育成されていない現状を示しています。

給食指導に限らず、保護者や外部との電話対応など、本来仕組みで支えるべき業務が個人の経験や努力に委ねられている状況が教育現場には存在します。このような「個人依存の構造」が、初任者の苦しみや離職を招き、結果として残された現場のさらなる疲弊へとつながる悪循環を生み出しているのです。

会議室でグループ学習が行われている様子

NPO法人設立と実践的な支援活動

こうした現状を変えるため、公立小学校教員として勤務しながら、NPO法人「教育新未来」が設立されました。長崎県大村市を拠点に、月1回の教員向け勉強会が開催されており、リアルとオンラインを合わせて約40名の先生方が継続的に参加しています。最近では県外からの参加者も増え、地域を越えた学びの場へと広がりを見せています。また、教員だけでなく、教育に関心のある社会人や学生の参加もあり、多様な立場から教育を考える貴重な場となっています。ここでは、現場の実践を持ち寄り、共有し、磨き合う循環を生み出すことを目指しています。

眼鏡をかけた男性がライブ配信中に教育関連の書籍を持ち、研究授業や指導案作成について話している様子

さらに、SNSでの発信にも力を入れており、Instagram、Facebook、LINEオープンチャット等の総フォロワー数は約8,000名にのぼります。発信内容は、「明日すぐに使える実践」や「現場で悩む先生への具体的なヒント」が中心であり、オンラインとリアルの両方の場で学びが循環する仕組みが構築されています。

男性がプロジェクターを用いて教育に関するプレゼンテーションを行っている様子

全国へ広がる教育コミュニティと地域連携

これらの取り組みを通して、「一人で悩まなくていい」「明日から使える実践がある」といった現場からの声が届くようになりました。各地での勉強会や実践交流を通じて、学び合いのネットワークは全国へと広がっています。一人ひとりの実践が共有され、磨かれ、次の現場へとつながっていく「学び合いの連鎖」こそが、教育を変えていく力になると考えられています。

大勢の人々が笑顔でポーズをとっている集合写真

そして今、その学びを自身の足元である長崎の教育へと還元するべく、教育関係者や地域の方々とともに「長崎教育フェス」が開催されました。立場や所属を越えて語り合い、これからの教育について真剣に考える貴重な時間となりました。現場だけでなく、地域や社会とつながりながら、教育をより良くしていく動きも広がり始めています。

「第1回長崎教育フェス」のイベント会場で、多数の参加者が集合写真を撮影している様子

プロジェクタースクリーンを背景に、女性がビデオカメラで男性を撮影している様子

現場からの変革と共創への呼びかけ

現在の教育現場は限界に近い状態にありますが、同時に変える力もまた現場にあります。一人の公立教員として、できる限りの活動を継続し、先生方が「明日、学校に行くのが少し楽しみになる」ような状態を作り出すことを目指しています。その先に、子どもたちの豊かな未来があると信じられています。

スタジオで男性がビデオカメラに向かってパンフレットを持ち、サムズアップをしながら撮影されている様子

しかし、教育は一人では変えられないという強い信念も持っています。だからこそ、人と出会い、つながり、さまざまな立場の方と力を合わせながら、ともに教育を前進させていくことが重要です。現場の声を現場だけで終わらせず、その声を社会へ届け、つなげ、広げ、教育界をより良い方向へ変えていくことが、現在の使命とされています。

活動への参加・お問い合わせ

本活動にご興味をお持ちいただいた方、「教育をより良くしたい」と感じてくださった方は、ぜひお気軽にご連絡ください。立場や地域を越えて、ともに教育を創っていく方々とのつながりを求めています。

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